故安達一明先生を偲ぶ会について

公開日 2012年09月03日

島根大学名誉教授 今木 正

 昭和44年10月からの一年半農学部長を、昭和48年4月から一期4年島根大学長を務められ、 当時のいわゆる大学紛争時代悠揚迫るらぬ信念で難局を乗り切られた安達一明先生が今年 (平成19年)3月11日に御年92歳でお亡くなりになりました。
 先生は昭和26年4月現生物資源科学部の前身である島根農科大学に赴任され農学分野作物育種学担当 の教官として27年間を島根農科大学・島根大学で、その後島根女子短期大学学長を8年、津山の作陽音楽大学と 倉敷のくらしき作陽大学で理事・副学長等として13年と併せて48年の長い期間教育に携わられました。 研究者としては、農科大学時代付属三瓶農場を研究の場として、講義・学生実験、卒業論文実験での学生指導に力を注がれました。 島大、女子短大、作陽音楽大学などの学長・副学長時代にも講義を続けられ、常に若い学徒たちを心から愛され、 多くの卒業生から慕われました。
 そうした「安達一明先生を偲ぶ会」を島根大学、学部や研究室同窓会や友人の方たちが中心になって呼び掛け、 去る7月31日に松江で行いました。先生と公私に亘りお付き合いの深かったご友人、島根農科大学、島根大学、 島根女子短期大学での同僚・後輩の先生達や農大・島大卒業生など約70名の方たちが参加されました。
 偲ぶ会は、発起人代表の学部同窓会長の筧 弘仲氏の司会で進行しました。先ず、先生への黙祷を行い、 発起人の一人今木の挨拶に続き、スライドで先生のご家庭、学校での生活や様々な人たちとの交流の様子を観て在りし日の先生を 偲びました。その後金築 修元学長のご発声で先生に献杯し会が始まりました。スピーチとして島田雅治元教育学部長、 伊達善夫元農学部長、山本広基現島根大学副学長、奥野元子島根県立大短期大学健康栄養学科長や友人代表として 押田幹太名誉教授奥様芳枝さまにお話をしていただきました。スピーチ後半には先生の教え子として松島一雄さん(昭31年卒)、 森山崚昇さん(昭32年卒)、丸山 卓(昭41年卒)さん、池田 栄(昭45年卒)さんから先生にまつわるエピソードを 交えてお話をして頂きました。会は優しくおおらかで温かな先生のお人柄に包まれた雰囲気で進みました。 そして「千の風になって」の曲が会場を流れ、晩年「小諸なる古城のほとり」、「マイウェイ」などを良く唄われていた先生の お人柄を改めて偲びながら会を終えました。
 その後、出席していただいた先生奥様から「千の風になって、主人も会場に来て皆様に会い喜んでいたと思います」とお便りを 頂戴致しました。
 最後に一秋という号で俳句を嗜んでおられた先生の句から
    卒論をあげて さそりを 冬天に
    卒業の日近し だんろ 赤く燃ゆ
    四ひら咲く 松江住まいの ここあそこ